足の遅い息子のサッカーの話
私の息子は小さい頃から言ってしまえば、どんくさい子供で、保育園の運動会ではダントツで毎年ビリでした。
保育園のクラスのお友達やパパママでバーベキューをした時も、他のお友達が元気に走り回る中、走るのが苦手で、足が遅いせいか息子は1人石を集めて遊んでいでいて、その様子を見て私もすごく落ち込んでしまったことを覚えています。
というのも、私も妻も運動神経は良い方ではなく、自分の子供時代を振り返ってもこんな感じだったなと思ったりして、"まぁ私達の子だから"が夫婦の口ぐせになっていました。
乳児クラスから幼児クラスにあがり、周りのお友達たちは習い事を始めたりする中、何事にも消極的なうちの息子には何も始めさせることが出来ず、私達は取り残されていく、不安や焦りを感じるようになっていました。
そんなおり、先にサッカーを習い始めていた保育園のクラスのお友達とそのママが、息子にそのスクールにサッカーを見にこないかと熱心に誘ってくれました。
以前私が誘ったときは「ボールがぶつかってあぶないからやらない」という話でいかにも息子らしいなと諦めていました。
しかし、お友達に誘ってもらったからか、見るだけならという約束で、スクールに見学に行くと言ってくれました。それだけでも、私達にとっては大きな前進でした。
その日、私は仕事で行けなかったのですが、息子の反応が気になって仕事中に妻に電話をして、様子を聞きました。もう行かないとか言ってるかなと不安だったのですが、妻が教えてくれた様子は意外なものでした。
練習が始まると食い入るようにそれを眺めていたらしく、その様子を見たスクールのコーチが一緒にやろうと声をかけてくださったのです。すると、息子は躊躇することなくコートに入って、ボールを追いかけドリブルをしてシュートをしたらしいのです。
終わってみたら、今まで見たことないぐらい汗をかいて、頬を赤らめて満足した様子だったそうです。
そして、家にかえると、またコーチとサッカーをしたいと言ってくれたのです。
下の娘が生まれて妻が育休に入っていたこともあり、1年間通わせることにしました。
始めてから8カ月くらいの間はなかなか技術が向上せず、試合になってもボールに触れられないことがほとんどでした。それでも息子は楽しいといつも言っていたので、私としてはそれだけで満足でした。
そして、10カ月が過ぎた頃から妻から足も早くなってきて試合でも少し活躍したという話を聞くようになり、私も仕事を休んで見に行ってみることにしました。
すると、練習でコーンの間を器用にドリブルしたり、試合では相手チームのお友達から、すっとボールを奪ってドリブルして、ゴールする姿を見て驚くと同時に嬉しくて、涙が出そうになりました。
1年が経過した今では、休みになると、息子から公園でサッカーをしようと誘われることが、日常になりました。
妻の育休が終わってしまうのですが、本人の熱の入れようを見ていると、やめさせるのが可哀想で、妻の両親に送り迎えをお願いして続けさせてあげることにしました。
サッカースクールのコーチはみんなサッカーが上手いだけでなく、子供達を盛り上げて楽しませるスキルが物凄くある方々で、息子もコーチのおかげでサッカーが好きになったと思います。
そんなコーチの1人の方がご家庭の事情で、スクールを辞めることになり、私も挨拶に行きました。いろいろお話ししてお礼言いたかったのですが、胸がいっぱいになって、ありがとうございましたと繰り返し言うことが精一杯でした。
先日、保育園のクラスで、集まりがあったのですが、他のお友達と一緒に元気に走り回る息子を見て、この1年で本当な息子は変わったなと改めて実感しました。
もちろん、保育園で毎日お世話をして頂いている先生方を始めたくさんのかたのおかげだと思いますが、サッカーが息子に与えてくれた影響はとても大きかったと感じています。
1年前の自分を振り返ると息子についてまあ仕方ないかと諦めて出来る努力が有るのに出来ていなかったなと思います。きっかけを作ってくれたお友達にも本当に感謝しています。
これからも子供達の可能性を信じて、いろいろな事にチャレンジさせてみたいと思います。